TIFF形式でスキャンするメリットとは?JPEG保存との違いも紹介

TIFF形式は、画像ファイルに付ける拡張子の1つで、主に印刷用途で活用されています。
他にも画像ファイルの拡張子はありますが、なぜTIFF形式が用いられる場合が多いのでしょう?
そこで今回は、TIFF形式でスキャンするメリットから、JPEG保存との違いもご紹介します。

大量の資料スキャンはtiff形式が便利

大量の資料スキャンはtiff形式が便利
大量の資料をPDF化させ、データとして保存しておく際にはTIFF形式が最適です
特にモノクロTIFFは軽いデータに仕上がるため、閲覧時の負担になりません。

また、OCRでTIFF形式から文字データを抽出すれば、大量の資料から知りたい情報をすぐに検索することもできます。
このように、大量の資料をスキャンする際には、TIFF形式が大変便利です。

モノクロTIFFは非常に軽く仕上がる

モノクロのTIFF形式で大量の資料をスキャンした場合、データ量が非常に軽く仕上がります。
JPEG形式で保存した場合と比較すると約10分の1以下の重さになるため、スキャンしたデータを閲覧する際にもPCの負担になりにくく、快適な動作を可能にしてくれるでしょう。

なぜ、モノクロのTIFF形式だとデータ量が軽く仕上がるのかというと、TIFFは黒い部分だけをデータとして反映し、白い部分は一切データを残していないためです。
通常の画像データであれば白い部分もまとめてデータとして保存されるため、容量が大きくなってしまいます。

また、TIFFの圧縮形式にはG4(Group4圧縮)という方法があり、これを使うと圧縮率がさらに高まります。
こうした理由から、モノクロTIFF形式を利用すると大量の資料をスキャンした場合でもデータ量を軽量化させられるのです。

スキャン後のTIFFの特徴

データを軽量化できる以外にも、TIFF形式にはいくつか特長が見られます。

  • 1ファイルにつき複数の画像データを持てるため、マルチページにも対応可能
  • G4やZIP、LZWなど、圧縮を掛ける前の状態に復元できる
  • 何度も編集・保存を行っても画質が低下しない

データの画質が劣化しにくく、なおかつ圧縮前に復元できるというのはTIFF形式の大きな強みです。
現在業務用として使用されるスキャナ機器や画像編集ソフトはTIFF形式に対応しているものも多いため、汎用性の高さも特長と言えます。

TIFFとJPEGの違い

TIFF形式について解説してきましたが、画像ファイルとしてよく利用されている「JPEG」とはどのような違いがあるのでしょうか?
画質・データ容量・マルチページ・その他の項目に分けて、違いを表にしました。

特徴の早見表

TIFF JPEG
画質 超高画質。編集しても劣化しない。 高画質だが上書き保存で劣化する。
データ容量 重い(モノクロは非常に軽い) 軽い
マルチページ 対応 非対応
その他 ホームページには使用できない

JPEGは上書き保存で画質が劣化する

JPEGは上書き保存すると画質が劣化する特徴を持ちます。これは、「不可逆圧縮」の性質を持っているためです。

カラーでも比較的容量が軽いJPEGですが、圧縮で一部データを捨ててしまうため、画質の劣化につながってしまいます。
低圧縮設定で保存した場合でも、若干の劣化は免れないため注意が必要です。

加工する場合に便利なのはJPEG

加工する場合にはTIFFよりもJPEGが向いています。
JPEGのメリットは、モノクロでもカラーでもデータ量を抑えて保存でき、対応する編集ソフトも多いためです。

TIFFの場合、モノクロだと圧倒的にデータ量を抑えられますが、中間色を表現できないためカラーで保存したい場合には向いていません。
しかし、JPEGであればカメラの画像形式にも採用されているほどなので、カラーで保存したい場合にもおすすめです。
例えば、色がないと判別・理解するのが難しい資料ならJPEGで保存した方が良いでしょう。

また、TIFFに対応する編集ソフトも多いですが、それ以上に一般的に利用されているのはJPEGです。
フリーソフトでもJPEG対応は多く見つかるので、加工する際に便利な画像形式と言えるでしょう。

TIFFはマルチページ対応、JPEGは非対応

そもそもTIFFは画像データの互換性を促進させるために開発された形式です。
マルチページに対応しており、各ページにタグ情報を付けられます。
タグ情報を元に画像のサイズや圧縮方法、カラー形式などを特定し、表示していきます。

各ページにタグ情報が備わっているため、例えば「このページはフルカラーで保存したいが、次のページはモノクロで保存したい」というような場合でも、タグ情報を変えるだけでそれぞれを異なる形式で記録できるのです。

JPEGはマルチページに対応していないため、画像のサイズや圧縮方法、カラー形式などはまとめて行われます

用途に応じて形式を使い分けましょう

「文書などをモノクロで保存できれば十分」という場合には、TIFFのモノクロがおすすめです。
TIFFで保存すれば大量のデータも軽量化され、快適に閲覧できるようになります。

一方、加工を前提として画像を保存したい場合はJPEGを活用した方が良いでしょう。
保存を繰り返す中で劣化していくものの、データ量も抑えられ、なおかつ編集ソフトも多岐にわたり使いやすいソフトを選んで加工できます。

このように、どのようにデータを使いたいのかによってTIFFが良いのか、それともJPEGが良いのかは異なります。用途を考えてから形式を使い分けていきましょう