コピー機の仕組み・原理を解説!印刷・スキャンはなぜできる?

普段、オフィスで何気なく使用しているコピー機ですが、その仕組や原理について語られる機会は多くありません。

もちろん、コピー機の仕組みを知らなくても問題なく利用することは可能です。
しかし仕組みを理解していれば、トラブルが起きた際の原因究明や、適切な対処に役立つかもしれません。
この記事では、コピー機がどのような仕組みでスキャン・印刷をしているのか詳しく解説します。

コピー機が印刷できる仕組み

ピー機が印刷できる仕組み

コピー機は、感光体ドラムという部分に静電気と光で文字などの形を作り、そこにトナーを付着させ用紙に転写する、という流れで印刷を行っています。

印刷をする際、コピー機の内部では「帯電」「露光」「現像」「転写」「定着」といったプロセスが行われています。
それぞれのプロセスについて解説していきます。

1.帯電

コピー機は、コピーをするために静電気を利用します。
「帯電」のプロセスでは、感光ドラム(感光体)という部品にマイナスの静電気を付与します。
コピー機を開けた時に見える筒状の部品が感光ドラムです。
感光ドラムは、カメラのフィルムのような役割を果たす部分で、ここに印刷する原稿の像が写されます。

2.露光

「露光」のプロセスでは、マイナス静電気を帯びた感光ドラムに、コピーする原稿に基づいたレーザー光を当てます。
レーザー光が当たった場所にはプラスの静電気が発生し、マイナスの静電気がなくなります。

「露光」のあとに残ったマイナスの静電気は、コピーする原稿と同じ像を描いています。

3.現像

「現像」のプロセスでは、トナーという色のついた粉を、感光ドラムに付着させていきます。
「露光」が済んだ段階で、感光ドラムにはマイナスの静電気を帯びている部分と、帯びていない部分とに別れ、その組み合わせでコピーする原稿の像を描いています。

そしてトナーも「現像」の際にはマイナスの静電気を帯びている状態です。
マイナス同士が反発する性質により、トナーは感光ドラムの、マイナスの静電気を帯びていない部分にだけ付着します。

「現像」後の感光ドラムには、付着したトナーによって、コピーする原稿の像が再現されています

4.転写

「転写」のプロセスでは、トナーによって感光ドラムに再現された原稿の像を、コピー用紙に写します。

この工程では、コピー用紙にプラスの静電気を帯電させます。
「現像」後の段階で、感光ドラムに付着したトナーが帯びているのは、マイナスの静電気。

プラスとマイナスが引きつけ合う性質を使用し、トナーを感光ドラムから用紙へと移動させるのです。

5.定着

「定着」のプロセスでは、トナーをコピー用紙にしっかりと付着させていきます。
「転写」の工程だけでは、用紙に付着したトナーがまだ安定しません。
そこに熱を加え、溶けたトナーを用紙の内部まで浸透させていきます

用紙の繊維にしっかりと入り込んだトナーが、冷えて再び固まることで、ようやく原稿の像が用紙に「定着」するのです。

次のコピーに備えた準備

「定着」のプロセスで、印刷は完了です。
しかし1つの印刷が終わると、コピー機の中では次の印刷に向けた用意が始まります。
それが、クリーニングと除電です。

感光体には、先ほどまでの工程で付着したトナーが残っているため、それを取り除かなければなりません。
また、同様に静電気も帯電しているため、次の印刷に備えて除去する必要があります。

クリーニング

「クリーニング」は、感光体に残ったトナーを取り除くプロセスです。
静電気を帯びた電磁ブラシで感光体を撫でることで、前の印刷に使ったトナーを落としていきます。

以前の印刷で使用したトナーが感光体に残っている状態では、次回の印刷を正しく行えません。
次から次へと異なる原稿をコピーしても、綺麗に印刷できるのは、「クリーニング」が行われているおかげです。

除電

最後に行う「除電」のプロセスでは、感光体に光を当て、残ったマイナスの静電気を取り除きます。
クリーニングの工程でトナーは綺麗に除去できますが、感光体には静電気が残ったままになります。

感光体に静電気が残ったままだと、不要なところにトナーが付着してしまうため、それを防ぐために除電が必要です。

感光体に光を照射すれば、感光層と呼ばれる部分が電気を通せる状態になり、帯びていたマイナスの静電気が逃げて行きます。
「除電」が済むと、感光体が元の状態に戻り、次の印刷を行うことができます。

コピー機がスキャンできる仕組み

コピー機がスキャンできる仕組み
コピー機によるスキャンには、CCDセンサー方式と、CSI方式の2種類があります。
両者の違いは、使用しているセンサーにあります。

ここからは、コピー機のスキャン方法である、CCDセンサー方式とCSI方式それぞれについて仕組みを解説していきます。

CCDセンサー方式

CCDセンサーの「CCD」とは「Charge Coupled Device」の略で、日本語では縮小光学方式とも呼ばれます。
この方式では、白色LEDの光源から発せられた光を、複数のミラーに反射させてレンズに集め、それをセンサーが読み取ってデータに変換します。

メリットはCIS方式に比べ、短い時間でデータを読み取れる点です。
画質についても「CIS方式より優れている」とされてきましたが、近年の製品ではそれほど大きな違いは見られません。

デメリットとしては、光を反射させるためのミラーを原稿とセンサーのあいだに設置する必要があるため、必然的に本体が大きくなる点です。

CIS方式

CISとは「Contact Image Sensor」の略で、日本語では密着光学方式と呼ばれます。
RGBの三色を光源とし、原稿に照射した光の反射をそのまま読み取ってデータ変換にします。

複数のミラーが必要なCCD方式と比較すると、設計はシンプル。
そのため本体をコンパクトに設計でき、設置スペースが限られる場所にも導入しやすいメリットがあります。

コピー機の仕組みについてのまとめ

日々の業務で利用しているコピー機の内部では、印刷のたびに多くのプロセスが実行されています。
普段あまり意識することない部分ですが、知識として知っておけば、いざコピー機にトラブルが起きた際に役立つかもしれませんよ。