e-文書法に対応するための4つの要件について詳しく解説

2005年にe-文書法が施行され、ビジネスに関係するさまざまな文書の電子保存が可能になりました。
ただ、e-文書法に対応するには4つの要件を満たさなくてはなりません。
満たすべき4つの要点を詳しく解説しましょう。

e-文書法の要件とは

e-文書法の要件とは

文書の電子化において満たすべき要件が定められています。
満たすべき要件は4つありますが、どの文書もすべての要件を満たさなくてはならないわけではありません。
書類によって、満たすべき要件が違ってきます。

次から詳しく解説しますが、e-文書法における文書の保存要件には、見読性と完全性、機密性、検索性などが求められます。
書類の重要度などにより、満たすべき要件の数が違ってくることを覚えておきましょう。

e-文書法の4つの要件詳細と対応のポイント

e-文書法の4つの要件詳細と対応のポイント

e-文書法における4つの要件とは、見読性と完全性、機密性、検索性を指します。
今後e-文書法に対応し、書類の電子保存を導入するのなら、4つの要件と対応のポイントを詳しく理解しておかねばなりません。

見読性

e-文書法に関連する書籍やサイトなどでは、可視性と表記されるケースもあります。
国税庁の公式ホームページでも、可視性と表記されていますが、見読性と同じ意味と認識して差し支えありません。
まずは見読性について詳しく解説しましょう。

見読性とは?

見読性は、電子保存しようとするすべての書類に求められる要件です。
電子データとして保存した文書は、必要に応じて明瞭な状態で見読できなくてはいけません。
電子化したデータの文字が読めないとなれば、税務調査もスムーズに進みません。

紙の書類であったときと同様に、文字がきちんと読める状態で保存する必要があります。
パソコンやタブレットの画面ではっきりと読めるのはもちろん、明瞭な状態でプリントアウトできることも求められます。

見読性を満たすポイント

必要に応じて見読できるよう、企業の事業所にはパソコンやモニターなどが必要です。
データを呼び出すのに必要なアプリケーションがあるのなら、パソコンにインストールしておかねばなりません。

また、書面にする必要があるときプリントアウトできるよう、印刷機器やシステムを用意しておく必要があります。
プリンターや複合機などを設置し、プリントアウトに必要な用紙も備えておきましょう。

完全性

2つめに求められる要件として、完全性が挙げられます。
電子化されたデータの完全性が確保されていないと、電子文書の確実性や信頼性が損なわれます。
e-文書法対応で求められる完全性の内容や、対応のポイントを解説しましょう。

完全性とは?

紙の文書であったときと同じ、完全な姿で保存しなければなりません。
紙の書類と違い、電子データは容易にデータの改ざんや消去などが可能なため、完全性の確保が求められているのです。

電子化されたデータは、適切な対策を施さなければさまざまなリスクが発生します。
内容の改ざんやデータの流出、消去などが起きるリスクがあるため、しっかりと対策をとらねばなりません。

完全性を満たすポイント

電子データの完全性を確保する方法として、電子署名が挙げられます。
電子署名は、第三者機関である認証局に発行を依頼し、その文書を本人が作成したことを証明できるシステムです。

ただ、電子署名は作成者の証明はできても、データがいつ作られたのかは証明できません。
そのため、電子署名だけでなくタイムスタンプを併用することが基本です。
電子文書に付与する時刻情報であり、その時刻に間違いなくその文書が存在したことを証明できます。

機密性

3つめの要件として挙げられる機密性。
紙の書類は、堅牢な金庫や特定の人間しか入室できない部屋で管理すれば安全ですが、電子データではそうもいきません。
関係者以外の人物に閲覧されないよう、機密性の確保が求められます。

機密性とは?

外部の人物からアクセスされないよう、機密性を確保しなければなりません。
つまり、しっかりとしたセキュリティ対策を施さねばならないのです。
セキュリティが弱いと、外部から容易にアクセスされ、重要な書類を閲覧されるおそれがあります。

このようなケースは、どの企業にも起こりえることです。
悪意ある第三者からのサイバー攻撃を受け、機密情報が外部に流出してしまうケースは少なくありません。
企業としての信頼も失ってしまうため、適切な対処が求められます。

機密性を満たすポイント

徹底したセキュリティ対策を実施し、権限のない人物からのアクセスを防ぐ必要があります。
たとえば、サーバーで電子データを保管しているのなら、IDやパスワードの設定で関係者以外からのアクセスをシャットアウトできます。

また、IDやパスワードを一定のスパンで変更することも大切です。
同じIDやパスワードを長く使用していると、外部に漏れるおそれがあるからです。
さらに、電子データを記録した媒体を専用の部屋で管理しているのなら、入室管理や施錠管理なども徹底しなければなりません。

検索性

e-文書法に対応する4つめの要件が検索性です。
企業によっては、電子保存するデータが膨大な量にのぼることも珍しくありません。
そのため、必要なときスムーズにデータを探し出せるシステムが求められます。

検索性とは?

必要に応じてスムーズに電子データを検索し、取り出せる仕組みが必要です。
保存している電子データが膨大な量となると、必要なデータをすぐ取り出せない可能性があります。

検索性が確保できていないと、税務調査の際に必要な文書をすぐ提示できません。
また、文書の確認や処理が必要なとき、すぐ見つけられないため業務効率の低下を招いてしまいます。

検索性を満たすポイント

目的のデータを必要に応じて探し出せるよう、体系的なデータ保存が求められます。
ファイル名やフォルダわけにも工夫し、体系的にデータを保存すれば検索性を高められます。

金額や日付などの範囲を設定して検索できるシステムや、2つ以上の記録項目を検索条件として組み合わせられる仕組みも必要です。

e-文書法の対象となる書類とは?

e-文書法の対象となる書類とは

e-文書法で電子化が容認されている書類は多々あります。
電子帳簿保存法と合わせると膨大な数にのぼるため、ここでは代表的な書類をいくつかピックアップしてまとめました。

  • 財産目録
  • 振替伝票
  • 会計帳簿
  • 証憑書類(見積書・納品書・請求書・契約書など)
  • 規約
  • 資産負債状況書類
  • 付属明細書
  • 事業報告書
  • 取締役会議事録

ほかにもさまざまな書類で、電子化が認められています。
まずは、どのような書類が電子化できるのかを把握しておきましょう。

e-文書法に対応する要件のまとめ

e-文書法へ対応するための要件は、見読性と完全性、機密性、検索性の確保です。
それぞれの要件をきちんと満たし、e-文書法への対応を進めましょう。
また、e-文書法の対象になる書類について、あらかじめ把握することも忘れないでください。