タイムスタンプは、電子化された文書データが改ざんされていないことを示すマークです。
ここでは、e-文書法の対応に必要な、タイムスタンプの取得方法や具体的な流れ、役割や必要性などについて解説します。
e-文書法に対応できるタイムスタンプの取得方法
タイムスタンプの付与を受けるには、正しい手順で手続きを踏まねばなりません。
具体的な流れや手順を把握していないと、タイムスタンプのスムーズな発行が困難となるため、ここで覚えておきましょう。
タイムスタンプを書類に付与する流れ
まずは、タイムスタンプの付与が必要な書類を準備します。
タイムスタンプが必要な書類とは、契約書や領収書、借用証書、検収書などです。
ほかにも、タイムスタンプの付与が必要な書類は数多いため、あらかじめ把握しておく必要があります。
大まかな流れとしては、自書署名のある書類を用意し、スキャンして画像を作成します。
保存した画像を、タイムスタンプシステムへアップロードすると、認定事業者から付与される流れです。
タイムスタンプを取得する方法の詳細
具体的な手順としては、以下の通りです。
- タイムスタンプ局への依頼
- タイムスタンプトークンの生成
- 原本の証明
これが、一般的なタイムスタンプ発行のプロセスです。
次からは、それぞれのプロセスごとに詳しく解説します。
1.タイムスタンプ局へ依頼
タイムスタンプ局とは時刻認証局のことで、タイムスタンプを発行する第三者機関を指します。
第一のステップは、タイムスタンプ局へ発行依頼することから始まります。
2.タイムスタンプトークンの生成
タイムスタンプ局は、依頼された電子データの情報や時刻をもとに、タイムスタンプトークンを生成します。
生成されたあとは依頼者へ返しますが、内容が改ざんされないよう鍵をかけられています。
電子データによる保存で、もっとも懸念されるのはデータの改ざんです。
紙媒体の書類なら改ざんしにくく、証拠も残りにくいのですが、電子データではそうもいきません。
依頼者による改ざんを防ぐため、タイムスタンプ局は内容の修正や追記などができないよう、ロックするのです。
依頼者は、タイムスタンプ局から戻してもらったタイムスタンプトークンと、依頼した電子書類の原本をセットで保存します。
3.原本の証明
原本の証明を求められるシーンが来れば、タイムスタンプ局から鍵を受け取ります。
タイムスタンプトークンと原本を照らし合わせ、情報が合致するかどうかを確認するのです。
このとき、情報が合致すれば書類に手を加えていないことの証明とできます。
タイムスタンプトークンを作成したときから、書類の追記や修正などを行っていないことを証明でき、データの正確性や信頼性を裏付けられるのです。
一方、情報が合致しなかった場合、原本の改ざんをしたとみなされてしまいます。
e-文書法で定められるタイムスタンプが必要な書類
「そもそも、どのような書類にタイムスタンプが必要なのか」と疑問に感じた方も少なくないでしょう。
タイムスタンプが必要な書類はいくつもあります。
どのような書類に必要で、どのようなケースで不要なのかをきちんと把握しておきましょう。
タイムスタンプが必要な書類
e-文書法の中でも、電子帳簿保存法に該当する書類はタイムスタンプが必要です。
e-文書法の規制を受ける書類は多々ありますが、その中でも国税関係書類や国税関係帳簿、電子取引に係る電磁的記録などが該当します。
国税関係帳簿とは、仕訳帳や総勘定元帳、補助元帳などです。
国税関係書類と電子取引に係る電磁的記録は、以下にまとめました。
【国税関係書類】
- 賃借対照表
- 損益計算書
- 棚卸表
- その他決算書類
【取引関係書類】
- 見積書
- 契約書
- 発注書
- 注文書
- 請求書
- 送付書
- 領収書
- その他準ずる書類
【電子取引に係る電磁的記録】
- 電子契約データ
- メールデータ
- EDIデータ
- FAX
一般的には、これらの書類にタイムスタンプの付与が必要です。
タイムスタンプが不要となるケース
電子帳簿保存法の改正により、規制緩和が続いています。
もともとは、発行者がタイムスタンプを付与しても受け取り側で付与が必要だったのですが、改正後は不要です。
また、受け取り側が勝手にデータの改ざんをできないシステムを導入すれば、今後タイムスタンプは不要になると考えられています。
タイムスタンプの役割と必要性
電子データが、間違いなくある時刻に存在していたことを証明するためのシステムが、タイムスタンプです。
電子データは改ざんしやすい側面があるため、手を加えられていないことを証明しなくてはなりません。
そのために、タイムスタンプは必要な存在なのです。
電子帳簿保存法改正により電子署名は不要に
電子署名は、タイムスタンプと同様に文書の信頼性を証明するために必要な存在でした。
電子署名はデータの作成者を証明するシステムで、タイムスタンプとはカバーする領域が異なります。
平成13年に電子署名の法的な効力が定められましたが、平成27年の規制緩和によって必須ではなくなりました。
>電子署名とタイムスタンプの違いとは?それぞれの仕組みと役割
e-文書法・電子帳簿保存法に対応してペーパーレス化を進めましょう
ビジネスで必要な書類は膨大です。
すべてを紙媒体のまま長期間保存するのは、コストや手間がかかり、業務効率の低下にもつながります。
e-文書法や電子帳簿保存法に対応できれば、ペーパーレス化を実現でき、業務効率の向上やコスト削減が可能です。
ぜひこの機会に、検討してみてはいかがでしょうか。