e-文書法で請求書の電子化が可能!メリット・準拠方法を解説

長期の保存が義務付けられている請求書ですが、電子化できることをご存じでしょうか。
すでに多くの企業が、請求書などビジネスに関連する書類の電子化を推し進めています。
ここでは、請求書を電子化するメリット、準拠方法などを解説します。

請求書の電子化は可能?

請求書の電子化は可能

請求書は電子化が可能です。
すでに、さまざまな企業がビジネス文書の電子化に取り組んでおり、近年では電子データの請求書をやり取りするケースが増えています。
まずは、請求書電子化に関する基本的な知識を得ておきましょう。

請求書の電子化とは?

請求書を電子データ化したものを電子請求書と呼びます。
従来の請求書は、専用の紙に手書きで数字を記載する、もしくはエクセルやワードなどのパソコンソフトで作成し、プリントアウトしていました。

電子請求書は、パソコンで作成したデータをプリントアウトしないため、そのまま送付や保管ができる特徴があります。
一般的に電子請求書はPDF形式で電子化されるケースがほとんどです。

請求書の電子データでの送付は問題なし

請求書の電子化は法律的にも有効です。
ただし、法的な問題はないものの、電子請求書を導入する際には取引先企業に一言伝えておいたほうがよいでしょう。
企業によっては、電子データでの保存に対応していないケースがあるからです。
また、電子請求書を受け取る側は、e-文書法や電子帳簿保存法の要件を満たす必要があることも覚えておきましょう。

電子請求書の保存はe-文書法・電子帳簿保存法への準拠が必要

電子請求書の作成や送付では、特に法的な規制を受けません。
ただ、電子請求書の保存となると話が変わります。
電子請求書の保存は、e-文書法や電子帳簿保存法で定められた要件を満たさなくてはならないのです。

e-文書法とは

文書の電子化を法的に認めるために、2005年に施行された法律です。
電子帳簿保存法により、国税関連帳簿の電子保存は可能でしたが、それ以外の文書は対象外でした。
商取引により発生した文書の電子保存も認めてほしいと多くの企業が希望し、その結果としてe-文書法が制定されたのです。

つまり、e-文書法は電子帳簿保存法の規制緩和を実現するための法律です。
e-文書法が施行されたことにより、それまで紙のまま保存が義務付けられていた、さまざまな文書の電子保存が可能になりました。
2015年と2016年にも立て続けに規制緩和が行われ、スキャナやスマホで取りこんだデータも電子保存が可能になったのです。

>e-文書法とは?基本要件・電子帳簿保存法との違い・対象文書について解説

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法は、1998年に制定された法律です。
法人や個人事業主などの、帳簿書類管理にかかる負担を軽減するため誕生しました。
請求書や領収書、帳簿などの処理、保管の負担を軽減するため、電子データによる保存を認めた法律です。

電子帳簿保存法が制定されたばかりのころは、スキャニングした電子データの保存について記載されていませんでした。
その後、e-文書法の施行に伴い電子帳簿保存法も改訂され、現在にいたります。
それまでは認められなかった紙媒体の国税関連書類を、電子データとして保存が可能になりました。

e-文書法・電子帳簿保存法への準拠の具体例

国税関連書類や商取引で発生した文書の電子保存は、e-文書法や電子帳簿保存法への準拠が必須です。
しかし、準拠するといっても具体的にどうすればよいのでしょうか。
ポイントは、税務署長の承認と真実性・可視性の確保です。

税務署長の承認

税務署長の事前承認を受けないと、電子帳簿の電子保存はできません。
管轄する税務署へ、国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請書を提出しましょう。
また、受領した請求書や領収書などを電子保存したいのなら、国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書も提出しなくてはなりません。

申請書の様式等は、国税庁の公式ホームページで確認できます。
承認を受けようとする方は、帳簿の備付開始日の3ヶ月前までに申請書を提出しましょう。
起業したばかりの個人事業主は、業務を開始した日から2ヶ月を経過するまで、新設法人は設立日以降3ヶ月以内までです。

参照:国税庁公式HP

真実性の確保

電子データは、紙の書類に比べて簡単に改ざんができます。
そのため、電子保存しようとするデータには真実性が求められるのです。
では、具体的にどのような手法を用いればよいのかですが、真実性を確保する方法としてタイムスタンプが活用されています

タイムスタンプは、第三者機関であるタイムスタンプ局を介し、電子文書の作成や更新が行われた日付、時刻を証明できる仕組みです。
従来は文書のスキャナ保存には電子署名が必要でしたが、現在では不要となりました。
代わりに導入されたのがタイムスタンプです。

可視性の確保

電子保存する文書には、可視性も求められます。
税務調査が必要となったとき、電子文書の内容が読めないとなっては意味がありません。
保存文書の文字がきちんと読めるよう、キレイな状態で保存することが基本中の基本です。

可視性の確保に伴い、見読可能装置を事業所に備え付ける必要があります。
カラーディスプレイやカラープリンターなどを設置し、必要に応じて出力できるシステムが必要です。
また、システム関連書類の備え付けや、帳簿との相互関係性も確保する必要があります。

さらに、税務調査の際、スムーズに保存データを検索できるシステムも求められます。
取引の金額や日付などから、データを検索できる機能が備わっていなくてはなりません。

請求書を電子化するメリット

請求書を電子化するメリット

すでに多くの個人事業主や企業が、請求書の電子化を導入しています。
しかし、請求書を電子化することにいったいどのようなメリットがあるのでしょうか。
メリットとしては、コストカットと業務効率化の実現、セキュリティの向上などが挙げられます。

コストカットになる

請求書用紙のコストをカットできます。
プリントアウトの必要がなくなり、メールで送付すればよいため、紙が必要ありません。
また、郵送にかかる切手代や封入の人的コストなども削減できます。

紙の請求書は、保管コストもかかります。
個人事業主や法人の場合、毎月膨大な数の請求書を発行、受領するケースも多く、専用の保管スペースも必要です。電子保存が可能なら、こうしたスペースも不要となり、管理するスタッフの人的コストも削減できます。

業務効率化が図れる

請求書をパソコンで作成し、プリントアウトののち封入といった手間がなくなります。
これら一連の業務がなくなることでスタッフの負担が軽減し、ほかの業務に力を入れられます。

また、メールで取引先や顧客のもとへ送付できるため、郵送に比べて圧倒的なスピードの速さを実現できるのも魅力です。
取引先や顧客とのやり取りがスピーディになり、ビジネスの処理速度がアップします。
メールで送付すればメールソフト上に履歴も残るため、送付忘れのようなケアレスミスも減少します。

セキュリティを向上させられる

Web請求書を活用すれば、セキュリティを高められます。
Web請求書は、作成したデータをクラウドにアップロードし、相手方にアクセス権限を付与する仕組みです。
これなら、仮に誤送信をしてもサーバーのデータを削除すればよいだけのため、情報漏洩のリスクを軽減できます。

メールでの送付も便利ですが、どうしてもセキュリティ面に不安が残るのも事実です。
技術をもつ人間なら、メールに不正アクセスし情報を抜き取ることも可能です。
強固なセキュリティを実現するのなら、Web請求書の利用が安心できます。

メリットの多い請求書の電子化を進めよう

e-文書法や電子帳簿保存法の要件を満たせば、請求書の電子化が可能です。
コストカットや業務効率化を図れ、セキュリティの向上も見込めるため、この機会に請求書の電子化を検討してみてはいかがでしょうか。