適切かつ効率的な文書管理を実現するための文書の分類方法

文書管理に苦労している企業は少なくありません。
膨大な数にのぼる文書を効率よく管理できる方法を知りたい、そう考える経営者や担当者の方も少なくないでしょう。
ここでは、効率的な文書管理を実現する文書の分類方法、コツやポイントなどを解説します。

文書管理の基本的な分類方法

文書管理の基本的な分類方法

文書管理の方法は企業によって異なりますが、一般的には3つの分類方法がよく知られています。
ワリツケ式やツミアゲ式、ハイブリッド式の3つが、多くの企業が導入している文書の分類方法です。
それぞれの方法について、特徴を詳しく解説しましょう。

ワリツケ式

会社全体で共有する文書の分類に適した方法です。
文書の管理を担当する部署や社員が分類ルールを定め、トップダウン式で分類を行うことが特徴です。
まずは大きなカテゴリで大分類し、書類を細分化しながら中分類、小分類とわけます。

一定のルールに従って文書管理を行うため、全社で情報共有や管理をしやすいことがメリットです。
また、文書の分類がスピーディになるのもメリットといえるでしょう。
一方、日常的に処理している細かい書類まではカバーできず、場合によっては複雑になるケースもあります。

ツミアゲ式

部署ごとに文書管理に関するルールを定め、それに則って書類の分類を行う方法です。
現場の実務に精通した社員が、ニーズや希望をヒアリングしつつルールを策定します。
ワリツケ式では、大→中→小とトップダウン式に分類しますが、ツミアゲ式では小→中→大とグループわけをします。

基本的に、部署単位での書類分類、管理に適した方法です。
身近な書類の分類から始められるため、スピーディな整理と管理ができ、運用状況を見ながらルールの改変ができるのもメリットといえるでしょう。
一方、部署単位で取り組む方法のため、全社で情報を共有することが難しいのも事実です。

ハイブリッド式

ワリツケ式とツミアゲ式、それぞれのよいところを取り入れた方式です。
ワリツケ式では、日常的な業務で発生する書類の管理が難しく、ツミアゲ式では全社での情報共有がしにくいデメリットがありました。
ハイブリッド式なら、これらのデメリットもカバーできるのです。

ある程度まではワリツケ式のルールを適用し、その後現場のニーズを聞きつつツミアゲ式で分類を行います。
大まかな分類は上の階層で、細かい分類は下の階層で行えるため書類のばらつきが発生しにくく、文書の検索性も高まります。

文書管理のやり方のポイント・コツ

文書管理のやり方のポイント

効率的な文書管理を実現するにあたり、まずは文書の分類基準を明確にすることから始めましょう。
わかりやすいファイル名に統一する、漏れやダブりがないよう注意するなども大切なポイントです。
詳しく見ていきましょう。

文書の分類基準を明確にする

文書の分類基準を明確にしないと、効率的な分類と管理ができません。
そのため、まずはどのような基準で文書を分類するのかを明確化することから始めましょう。
文書分類の基準としては、以下のものが挙げられます。

  • 手順別
  • 地域別
  • 発生日時
  • 顧客別
  • 形式別

手順別

業務におけるプロセスごとに分類する方法です。
たとえば、営業や製造、人事などそれぞれのプロセスごとにわければ、分類しやすく検索性も高められます。
業務フロー順にツミアゲ式で管理すれば、必要なときすぐ取り出せます。

地域別

地域別に分類するのもポピュラーです。
都道府県や市区町村ごとに書類を分類し、管理を行います。
企業によって異なりますが、一般的には五十音順や北から南に向けて並べるケースがほとんどです。
こうすることで、視認性がよくなり検索性が向上します。

発生日別

文書が発生した日時で分類する方法です。
日時で分類しておけば、商取引が行われた日から文書が管理されている場所が判断でき、スピーディに書類を取り出せます。
基本的には時系列ごとに並べるケースが多いですが、運用しながら扱いやすいルールに改変しましょう。

顧客別

顧客の氏名を五十音順に並べて分類するのが一般的です。
顧客の名前さえわかれば、関係する書類がどこに保管されているのかすぐわかります。
また、顧客の重要度や取引の頻度などで分類するケースも少なくありません。

形式別

文書の形式によって分類する方法です。
ビジネスで使用する文書の形式はさまざまで、申請に必要なものもあれば報告書類、規則、契約、許可に関するものなどもあります。
形式別に分類し、さらに日付や重要度などで細かく分類することで、より検索性が向上します。

ファイル名をわかりやすく統一する

文書の電子化を導入しているのなら、ファイル名の付け方に注意が必要です。
ファイル名のルールが統一されておらず、場当たり的な名付けをしてしまうと、検索性の低下につながります。

あまりにも汎用的なファイル名でも、目的の文書を探すまでに時間がかかりすぎてしまいます。
[文書1]や[書類1]といったファイル名では、その都度開いて確認しなくてはなりません。
これはとても効率的とはいえないため、名付けのルールを統一しましょう。

また、誰もがすぐにわかるファイル名をつけることも大切です。
特殊な用語や、特定の人にしかわからないファイル名では意味がありません。
ほかのファイルと混同しないよう、名付けに工夫することも大切なポイントです。

漏れ・ダブりがないよう注意する

文書の漏れやダブりが生じてしまうと、必要なときスムーズに目的の書類を取り出せません。
検索性の低下につながるため、漏れやダブりが生じないよう対策することも大切です。

具体的には、MECEを実践しましょう。
MECEとは、「漏れなくダブりなく」を意味する「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の頭文字からなる言葉です。
ロジカルシンキングの基本ともいえる考え方、概念で、さまざまなビジネスシーンにおいて採用されています。

MECEの考え方を実践し、漏れやダブりをなくしましょう。
たとえば、地域別に分類しているフォルダに「北海道」と「札幌」があった場合、ダブりが発生しています。
また、年齢別で分類しているケースにおいても、「10~20代」と「若年層」ではダブりが生じてしまうため、検索性を損ねてしまいます。

職種によって分類方法を変える

同じ会社でも、部署が違えば業務内容も大きく異なります。
それにも拘わらず、全社で同じ統一ルールを採用してしまうと、文書管理に歪みをきたしてしまう恐れがあります。

こうしたリスクを回避するため、職種や業務内容によって分類方法を変えることも大切です。
全社の全部署で統一したルールを用いることにこだわらず、柔軟に対応しましょう。

文書の分類方法にルールを設けるのはよいことですが、それが目的になってしまっては本末転倒です。
文書を分類するのは、管理をしやすくしトータルでの業務効率化を実現するためです。
そこをきちんと理解したうえで、業務内容や職種にマッチした分類方法を考えてください。

紙文書の場合はファイリング用具を使い分ける

紙文書を分類する代表的なツールとして、フォルダーとバインダーが挙げられます。
それぞれにメリットとデメリットがあるため、うまく使いわけながら書類の分類を行いましょう。

フォルダーなら、文書を出し入れしやすく自由度の高い分類ができますが、破損や紛失が発生しやすいため長期の保存には向きません。
一方、バインダーは本棚で管理でき、長期間の保存が可能です。
しかし、文書の出し入れがしにくく、場所をとるのがデメリットです。
それぞれの長所と短所を理解し、うまく使い分けてください。

文書の分類方法まとめ

文書の分類方法には、ワリツケ式やツミアゲ式、ハイブリッド式などがあるため、それぞれの特徴を理解して運用しましょう。
また、ここで解説した文書管理のポイントやコツも参照しつつ、自社にマッチした分類、管理方法を見つけてください。