バックオフィス業務にテレワークを導入するための課題と方法

テレワークへの移行がなかなか進まないと、頭を悩ませている企業経営者や担当者は少なくありません。
理由はいくつか考えられますが、ひとつにはバックオフィス業務の存在が挙げられます。
本記事では、テレワーク導入にあたってのバックオフィス業務の課題や、移行するために必要なポイントなどを解説します。

バックオフィス業務のせいでテレワークが進まない!?

バックオフィス業務のせいでテレワークが進まない

バックオフィス業務とは、企業における裏方の業務を指します。
具体的には、経理や総務、会計など、直接顧客や取引先と関わる部署を、サポートする業務です。
華々しさこそないものの、企業が事業活動を行ううえで欠かせない部署といえるでしょう。

バックオフィス業務は多岐にわたります。
郵便物の確認や各部署への配布、契約書や請求書の処理など多彩な業務がありますが、これらがテレワーク導入の妨げになっているのです。

たとえば、郵送物の確認や配布にしても、出社しなければ対応できません。
経理担当者なら、銀行の窓口へ足を運ばなければならないことも多く、完全テレワーク化は難しいのが現状です。
特に、経理課や庶務課などは、紙ベースでの決済書類が多く、出社しなければ対応できない業務がたくさんあるのです。

バックオフィス業務のテレワーク導入の主な課題

バックオフィス業務のテレワーク導入の主な課題
先述した通り、企業がテレワークを導入するにあたり、バックオフィス業務が大きな妨げとなっています。
紙での文書管理や印鑑による申請・承認が多く、セキュリティや顧客対応の問題などがあります。
今後テレワークを導入するにあたり、これらの課題を解決することが先決です。

紙での文書管理

現在では、ペーパーレス化を推進する企業が増加しつつあるものの、まだまだ全体で見れば少数派です。
企業が業務で扱う書類は多岐にわたり、請求書や契約書、見積書、履歴書など、挙げればきりがありません。
バックオフィス業務では、これらの紙文書を実務で扱うため、テレワークが進めにくいのです。

書類を自宅へ持ち帰る手もありますが、難色を示す企業も少なくありません。
セキュリティの問題があるからです。
重要な文書になればなるほど持ちだせないため、結局社員が出社しなくてはなりません。
取引先から請求書や見積書などが書類で郵送されることもあるため、対応する必要があります。

ハンコでの申請・承認

日本は、ハンコ文化が根付いた国です。
近年では、ハンコ文化をなくそうとの動きが活発化しているものの、それに反対する動きがあるのも事実です。
バックオフィス業務では、書類に上司からの承認として捺印を必要とするケースも多く、これがテレワークの推進を阻害している一面があります。

書類による申請や承認を受ける際、捺印が必要であればわざわざ出社しなくてはなりません。
自宅でテレワークをしていても、必要に応じて出社しなければならないため、業務効率の低下につながってしまいます。

出社せず、郵送で書類を会社に送り申請や承認のプロセスを経るケースもありますが、時間がかかりすぎるデメリットがあります。
そのため、実際には多くのケースで在宅ワークを切り上げ、出社して捺印をしてもらうことが多いのです。

セキュリティ

バックオフィス業務で取り扱う書類の中には、機密情報が記されたものもたくさんあります。
顧客情報や社内の重要な情報が記載された書類もあるため、多くの企業では外部への持ち出しを禁止しています。

持ち出し禁止の理由は明らかで、セキュリティの問題があるからです
社員が重要な書類を外部へ持ち出し、万が一でも情報が流出してしまうと、企業としての信頼を失墜させてしまうおそれがあるのです。

社外へ書類を持ちだされてしまうと、上司の目が行き届きません。
管理がしにくくなり、情報漏洩のリスクが高まります
これも、バックオフィス業務がテレワークに移行しづらい大きな理由のひとつといえるでしょう。

顧客対応

バックオフィス業務のひとつに、顧客対応が挙げられます。
会社にかかってきた電話を受け、質問に答えたり、担当部署へつなげたりといった業務があります。
こうした業務を行うには、会社に出社するしかありません。

電話を転送する方法がありますが、それですべての問題が解決するわけではありません
自宅で電話を受けるとなると、顧客対応の品質が低下してしまうおそれがあるのです。

たとえば、オフィスなら顧客からの問い合わせでわからないことがあっても、すぐ上司や担当部署に確認ができます。
しかし、テレワークではそれができません。お客様を待たせてしまうことになり、結果接客品質を低下させてしまうのです。

また、小さな子供がいる家庭では、電話対応時に子供の声が入りこんでしまったり、生活音が入りこむおそれもあります。

バックオフィス業務を完全テレワークにするためのポイント

バックオフィス業務を完全テレワークにするためのポイント
バックオフィス業務をテレワーク化するにあたり、まず取り組むべきはペーパーレス化です。
また、勤怠管理ツールやチャットツール、WEB会議ツール、クラウドサービスなどを導入し、積極的に活用することがバックオフィス業務のテレワーク化を進めるにあたり大切です。

ペーパーレス化に取り組む

真っ先に取り組むべきは、ペーパーレス化です。
取り扱う紙の書類が少なくなれば、バックオフィス業務をテレワーク化しても大きな問題がなくなります。
現状紙で保管している書類も電子化すれば、別途保管スペースを設ける必要がなく、検索の手間も軽減できます。

たとえば、請求書もWEB請求書を利用すれば、印刷の手間が省けスピーディに取引先や顧客へ送付できます
また、電子契約のシステムを導入すれば、ウェブ上で契約の締結から保管まで完了するため、大幅な業務効率化が可能です。

社内における手続きを電子化したワークフローを導入すれば、テレワーク下でも上司から承認を得られます。
わざわざ出社する手間がなくなり、待ち時間の発生も回避できます。

勤怠管理ツールを導入する

テレワークを導入するにあたり、懸念されることのひとつが社員の勤怠管理をしにくくなることです。
従来なら、社員がきちんと出社しているか、業務を進められているかを上司が目視で確認できましたが、テレワーク下ではそれが難しくなります。

こうした問題を解決するには、勤怠管理システムの導入がおすすめです。
オンラインで勤怠管理ができるツールもあるため、テレワーク環境下でも容易に社員の勤怠や業務の進捗などをチェックできます。

現在では、さまざまな勤怠管理システムがありますが、勤務時間や作業状況などの記録ができるものを選びましょう。
また、給与システムと連携できるツールなら、勤怠状況を反映できるため容易に給与計算ができます。
導入にあたっては、費用面だけでなく機能もきちんと確認しましょう。

チャットツールを導入する

「テレワークになってコミュニケーションがとりにくくなった」との声はよく耳にします。
コミュニケーション不足からミスが発生し、業務の進捗に影響を与えるケースも少なくありません。
こうした事態を回避するには、チャットツールの導入がおすすめです。

チャットツールを導入すれば、特定のグループへメッセージを送り、全員で情報を共有できます
多くのチャットツールでは、画像ファイルも添付できるため、業務効率化もサポートしてくれます。

メールに比べてメッセージの送受信スピードが速く、レスポンスのよいやり取りが可能なのもメリットです。
議論が活発化し、新たなアイデアの創出にもつながるでしょう
ツールを選ぶときは、ステータス機能や権限管理機能、グループ設定、既読表示が可能なものを選んでください。

WEB会議ツールを積極的に利用する

WEB会議ツールは、オンラインでの会議を可能とするツールです。
高精度な音声と画像で会議ができるため、ビジネスシーンで活用されています。
スピーディで臨場感あるやりとリができ、意思決定のスピード化も実現できるため、テレワーク下では絶対に導入したいツールです。

WEB会議ツールはインターネット回線を利用するため、環境次第では映像や音声の遅延が発生します。
そのため、導入時には快適に利用できる環境かどうか、事前に確認したうえで実践投入しなければなりません。

郵便物の処理はクラウドサービスを利用する

会社に送られてきた郵送物の処理も、バックオフィス業務に含まれます。
これこそ、出社しないと対応できない業務ですが、実は郵便物の管理を任せられるクラウドサービスがあります。

郵便物の受取を代行してくれるだけでなく、届いたものの画像を管理画面上にアップロードしてくれるため、管理者はいつでも確認できます。
転送やスキャン、廃棄などに対応してくれるのも大きなメリットです。
導入すれば、担当者がわざわざ出社する必要がなく、自宅に転送してもらったうえで対応ができます。

バックオフィス業務をテレワークに最適化しよう

バックオフィス業務を完全にテレワーク化するにあたり、まずすべきはペーパーレス化の推進です。
ペーパーレス化とワークフローを改善すれば、それだけでバックオフィス業務のテレワーク化における課題の大半はクリアできます。

なお、現状紙で保管している文書に関しては、自社でスキャンするのではなく、外部のスキャンサービスを利用しましょう
スピーディな電子化が可能で、ファイリングにも対応してくれます。
スムーズなテレワークへの移行を目指すためにも、積極的に外部のスキャンサービスを利用してください。