コスト削減やスペースの有効化など、さまざまなメリットが得られる書類のペーパーレス化。
電子データなら情報共有もしやすいため、リモートワークへの移行にあたりペーパーレス化へ踏み切る企業も増えてきました。
そのペーパーレス化に必要な機器がスキャナーです。
本記事では、スキャナーの選び方や種類、特徴などを解説します。
ペーパーレス化に欠かせない【スキャナー】
書類のペーパーレス化は、専門業者へ委託する方法もありますが、スキャナーがあれば社内のリソースを使って実現することも可能です。
スキャナーは、パソコンへ接続して使用する周辺機器の一種であり、文書や画像をデータとして取り込める機器です。
まずは、スキャナーの基本知識やプリンター、複合機との違いなどを理解しましょう。
スキャナーとは?
スキャナーは、文書や画像、写真などをデータとしてパソコンへ取り込める機器です。
USBケーブルやWi-Fiを介してパソコンに接続し、データのやり取りを行えます。
書類だけでなく、写真やイラストもデジタルデータとして取り込むことができ、電子データのまま保存できるのです。
書類の電子化は難しいというイメージを抱く方は少なくありませんが、スキャナーがあれば誰でも実現可能です。
スキャナーとプリンター、複合機の違い
プリンターは、パソコンなどのデバイスに保存されているデータをプリントアウトするための機器です。
大きくわけると、インクジェットプリンター、カラーレーザープリンターの2種類があり、白黒からフルカラーまで多彩な印刷が可能です。
スキャナーとプリンターとの違いは、印刷機能の有無です。
プリンターは印刷ができますが、スキャナーはできません。
また、プリンターにはインクやトナーカートリッジなどの消耗品が必要ですが、スキャナーには不要です。
プリンターやファックス、コピー、スキャンなど複数の機能が備わった機器を複合機といいます。
スキャンからプリントアウトまで一台で完結できるため、オフィスに設置されているケースも少なくありません。
スキャナーを選ぶときのポイント
さまざまなメーカーから、数多くのスキャナーがリリースされています。
メーカーや製品によって特徴が異なりますが、選ぶときには以下のポイントを押さえておきましょう。
解像度をチェック
画像を表現するドットの細かさを解像度と呼びます。
一定領域における画素数で表され、数値が高いほど鮮明できめ細かい画像となるのです。
スキャナーによって解像度は異なるため、購入時には必ずチェックしましょう。
解像度の単位はdpiで表示されますが、スキャンしたデータを印刷する予定があるのなら200dpi、OCR処理を行うのなら400dpiが目安です。
基本的には、200~400dpiを上回るスペックのスキャナーを使用すれば安心です。
解像度は高ければ高いほどよいわけではなく、用途や目的を念頭に置き、そのうえで予算に応じて選びましょう。
読み取り速度をチェック
読み取り速度とは、スキャンを実行するときのスピードです。
製品によって読み取り速度が変わるため、選ぶときには注意しましょう。
読み取り速度の遅い機種を選んでしまうと、スキャンが思うように進まずストレスを感じてしまうかもしれません。
スキャナーの読み取り速度は、条件によって変化します。
原稿のサイズによって異なるほか、解像度によっても変わるため注意が必要です。
大量の書類をスキャンし電子化しようと考えているのなら、なるべく読み取り速度が速い機種を選びましょう。
なお、スキャナーのカタログにはスペックが掲載されており、読み取り速度が表記されていることも少なくありません。
スキャン時の条件により読み取り速度は変わるため、同じ条件で比較しながら選ぶことが大切です。
対応している原稿のサイズをチェック
機種によって、対応できる原稿のサイズに違いがあります。
電子化したい書類のサイズが大きいのなら、それに対応したスキャナーを選ばなければなりません。
大判サイズに対応できるスキャナーほど、価格は高くなる傾向があります。
小サイズの書類しかスキャンしないのに、大判サイズに対応したスキャナーを購入すると機能がムダになってしまいます。
使う場所はどこか、持ち運びのしやすさは?
スキャナー本体の大きさも製品によって異なります。
本体が大きなものは、それなりに設置場所を広くとることになります。
スキャナーを選ぶときは、設置する場所も考慮しながら選ばなければなりません。
また、企業によっては書類を別の場所に保管しているケースもあります。
このようなケースでは、携帯性に優れたスキャナーが重宝するでしょう。
携帯性に優れるハンドスキャナーなら、出先でも手軽にスキャンが可能です。
ただ、ハンディスキャナーは携帯性に優れる反面、大量のスキャンには向いていません。
1枚1枚なぞるようにしてスキャンするため、膨大な時間と手間がかかります。
便利に使えるスキャナーではあるものの、企業の書類電子化には向いていないでしょう。
Wi-FiやBluetooth対応か
一般的なスキャナーは、USBケーブルで本体とパソコンを接続し、データのやり取りを行います。
ただ、このタイプはパソコンと物理的な距離が近くないと使いにくいデメリットがあります。
Wi-FiやBluetoothに対応したスキャナーなら、無線でデータのやり取りができるため、パソコンから離れた場所でもスキャンができます。
また、スマホやタブレット端末などのデバイスでデータのやり取りを行う場合、変換アダプターが必要になるケースもあります。
しかし、Wi-FiやBluetoothに対応しているスキャナーなら、変換アダプターも不要です。
スキャナーの種類と特徴
スキャナーの種類には、フラットヘッドスキャナーやシートフィードスキャナー、オーバーヘッドスキャナー、ハンディスキャナー、名刺スキャナーなどがあります。
それぞれに特徴があるため、用途や目的に合わせて選ばなければなりません。
種類ごとの特徴を把握し、スキャナー選びに役立てましょう。
万能型:フラットヘッドスキャナー
画像出典:キヤノン:パーソナル向けスキャナー|CanoScan LiDE 400|おもな特長
あらゆる用途に適した、万能型のスキャナーです。
平坦なガラスの上に原稿をセットし、上から押さえるようにしてスキャンを行います。
一般的な家庭用プリンターやスキャナー、コンビニのマルチコピー機などに採用されているタイプです。
名刺からハガキ、書類、書籍まであらゆる媒体のスキャンが可能です。
企業における書類の電子化でも十分力を発揮してくれます。
万能なスキャナーではあるものの、その都度原稿をセットしなければならない手間が発生します。
そのため、大量の書類をスキャンするのには向いていません。
大量スキャンなら:シートフィードスキャナー(ドキュメントスキャナー)
画像出典:PRESS RELEASE | 新世代ScanSnap iX1500登場 ~ 6年ぶりのフルモデルチェンジ ~ | 株式会社PFU
シートフィードスキャナーは、原稿を自動的に送りデータを読み取るタイプのスキャナーです。
フラットヘッドスキャナーのように、その都度原稿をセットする必要がなく、スピーディなスキャンが可能です。
そのため、大量に書類をスキャンするシーンでは、シートフィードスキャナーが活躍します。
手で直接原稿を挿しこむ手差しタイプと、自動給紙装置搭載タイプの2つがあり、前者はコンパクトで設置場所を選ばないことがメリットです。
後者は、複数の原稿をセットするだけで自動的にデータを読み取ってくれるため、効率のよいスキャンが可能です。
機種によっては、両面のスキャンに対応したものもあります。
両面をスキャンしなければならない書類が多いのなら、こうしたタイプを選ぶと作業が捗ります。
本のスキャンに◎:オーバーヘッドスキャナー(スタンドスキャナー)
画像出典:Aura Pro/X Pro 製品概要 | CZUR Japan
オーバーヘッドスキャナーは、非接触で対象物のスキャンが可能なタイプです。
読み取りたい原稿を上向きにセットし、上から写真を撮るようにしてスキャンを行います。
本をスキャンしたいときも、開いた状態でセットすれば読み取りできます。
オーバーヘッドスキャナーは、読み取る対象を裁断せず、そのままの状態でスキャンできます。
書類以外に、社内報や冊子などをたくさんスキャンしたい、といったケースではおすすめのスキャナーです。
フラットヘッドスキャナーでも本、冊子のスキャンは可能ですが、綴じ目が暗くなる、折り目がついてしまうなどのデメリットがあります。
そのため、キレイにスキャンしたい、本や冊子を傷つけたくない、といったシーンでオーバーヘッドスキャナーは重宝されます。
持ち運び便利:ハンディスキャナー(モバイルスキャナー)
画像出典:一度使ったら手放せない!モバイルスキャナーが便利な理由
モバイルスキャナーとも呼ばれるタイプで、携帯性に優れています。
市販されているハンディスキャナーの多くは軽量かつ小型であり、バッグなどへ入れて容易に持ち運びが可能です。
電池やバッテリーで駆動するものが多く、電源をとれない場所で利用できるのもメリットといえるでしょう。
壁に貼り付けてある書類も読み取れるため、さまざまなシーンで活用できます。
ハンディスキャナーの多くは、手に持ち原稿をなぞるようにしてデータを読み取るタイプです。
そのため、少量のスキャンなら問題ありませんが、大量の書類を読み取るとなると膨大な手間と時間がかかります。
あれば便利ですが、電子化する予定の書類が大量ならおすすめできません。
名刺スキャナー
画像出典:USB名刺管理スキャナ(1枚3秒連続スキャン・OCR搭載・Win&Mac対応・Worldcard Ultra Plus 400-SCN005Nの販売商品 | 通販ならサンワダイレクト
文字通り、名刺のスキャンに特化したスキャナーです。
さまざまな製品がリリースされていますが、基本的に軽量かつ小型のものが多く、携帯性に優れています。
製品によって異なりますが、1枚の名刺を読み取るのに要する時間もわずか5秒程度であるため、スピーディに名刺を電子化できます。
機種によって読み取れる言語の種類が異なるため注意が必要です。
海外の取引先からもらった名刺をたくさんスキャンする場合には、複数言語に対応したものをチョイスしましょう。
ペーパーレス化には【用途に合ったスキャナー】を選ぶこと
スキャナーの種類によってできることが変わります。
特徴をきちんと把握し、用途にマッチしたスキャナーを選びましょう。
ここでお伝えしたように、スキャナーを選ぶときは解像度や読み取り速度、対応している原稿サイズなどもきちんと確認してください。
自社での書類スキャンが難しいのなら、専門業者へ依頼するのもひとつの手です。
費用はかかりますが、スピーディかつ確実にスキャンしてもらえます。
なるべく早くペーパーレス化を実現したいのなら、業者への依頼を検討してみましょう。